読む毒

イヌ

2022年7月12日の日記 蟹冷房

地球温暖化陰謀論ではなく科学的事実なのだが,陰謀論であると主張する人もいる。

たしかに歴史的には地球温暖化を加速させたのは,蟹や牛などではなく,現生ホモサピエンスの先進国側なのに対して,これから発展を目指す発展途上国たちにエコな開発だけをせよ,と先進国が制限をかけてしまうのは高度に政治的な主張である。

高度に政治的な主張には,陰謀の創造が伴う。点と点を繋げて隠されたライン,陰謀を見出すことは可能だが,そのラインが不確かであることを立証することは難しい。これを悪魔の証明という。

 


ところで私の体感上では夏というのはどんどん涼しくなっている。夏を暑いと感じることは歳を取るごとに減っている。

なぜか?

冷房の効いていない空間に外出する時間が減っているからである。

 


しかし,実はここにも陰謀論が存在する。私が涼しくないところへの外出を減らしているのではなく、涼しいところが私の外出を妨げているのではないか?

おっと,これは陰謀論ではなくコペルニクス的転回による別説と言った方が正しい。

 


話は変わるが,蟹は夏を暑いと感じるのだろうか。夏の暑さを感じるには,季節による水温の変化,蟹の温度を感覚する器官の存在,そして蟹が冷房のある空間で過ごしているかどうか,の3つパラメータが関係する。

これは勘なのだが,どうやら蟹は暑さを感じていないようだ。そして蟹は冷房のある空間には暮らしていない。

 


そして,ここでまた点と点がラインで繋がりだすのである。蟹は冷房のある場所にいないのではなく,蟹がいないことによって冷房が発生するのだ。

どうだろうか。皆さんも身に覚えがあるのではないか。皆さんが冷房で涼んでいるとき,そこには確かに蟹がいない。

蟹の非存在が冷たい空気を発生させることは東京大学の1980年の研究でも知られており,現代の冷房の室外機は「蟹の非存在」を使って温度調節をしていることは一部の人たちによく知られている。(蟹ヶ峰というロゴマークのついた冷房があったら,それだ。)

 


しかし,これを聞いて次のように思う人もいるのではないか。

でも水族館などでは蟹がいるのに夏は冷房が効いているじゃないか,と。

この現象を解明するには新しい物理法則の導入が必要になる。

気体は加圧すると体積が減って温度が高くなり,減圧すると体積が増えて温度が下がる。

ボイル・シャルルの法則である。

詳細は割愛するが,水族館などではこのボイル・シャルルの法則を使って電力で気体を加圧したり減圧したりし,外部の空気の気温を上げ下げしているのである。

そして賢明な読者はお気づきだろうが,この原理には蟹の関与は必要ではない。

そう,本当は冷房は蟹の関与なくして完成させることが出来たのである。